花粉症の診療

花粉症かも?と思ったらお越しください。

風邪と花粉症の症状の違い

花粉症かな?

花粉症は今まで症状がなかった人でも突然発症することがあります。1週間以上「くしゃみ」「鼻水」「鼻のかゆみ」などが続く場合はアレルギー検査をしてみてはいかがでしょうか?
花粉症の主な症状は、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」「鼻のかゆみ」「目のかゆみ」です。「のどのかゆみ」「耳の奥のかゆみ」などの症状が出る場合もあります。
花粉症の鼻水と風邪の初期症状の鼻水はどちらもさらっとした透明な水っぽい鼻汁であるため見た目だけでは判断できません。
花粉症は、花粉によるアレルギー反応によって起こる鼻炎・結膜炎、咽喉頭炎です。

目の症状

花粉症では「目のかゆみ」「目の充血」「結膜の腫れ」などが見られます。
一般的な風邪では目の症状がみられることはありません。

鼻の症状

花粉症では「くしゃみ」「透明な水っぽい鼻水」「鼻づまり」「鼻のかゆみ」などが続きます。
風邪でも最初は花粉症と同様な「水っぽい鼻水」が出ますが、徐々に「色のついた鼻水」や「粘性の鼻水」となることがあります。

のどの症状

花粉症では「のどのかゆみ」や「から咳」の症状がみられる場合もありますが、多くはありません。
風邪では「のどの痛み」「痰のからむ咳」を伴うことも多いです。

頭痛

花粉症で頭痛を伴うことはありません。目の周りやほっぺたの部分の痛み、頭痛がある場合は副鼻腔炎の可能性があります。
風邪の諸症状では頭痛もあります。

発熱

花粉症では発熱はありません。
風邪の諸症状では発熱もあります。

症状の発現期間

鼻や目の症状が2週間以上続く場合は花粉症の可能性があります。
軽症の風邪では通常1週間以内で治癒し、経過が長くなると色のついた鼻汁、粘性の鼻汁などの変化が見られることが多いです。

1日の症状の変化

花粉症を含むアレルギー性鼻炎では起床時に症状が強く出るいわゆる「モーニングアタック」と言われる症状が出やすいと言われてます。

乳幼児でも花粉症になります。

小さい頃から花粉症などのアレルギー性鼻炎を持つお子さまは花粉などのアレルゲンへの感受性が高い場合も多く、大人になってからアレルギーになった人よりアレルギー体質が強い傾向があります。治療しないままでいると成長とともに重症化するリスクが高く、ほかのアレルギーの病気にもかかりやすいとも言えます。
アレルギー疾患の中でも、花粉症を含むアレルギー性鼻炎は気管支喘息などに比べると自然治癒しにくいと言われます。
花粉症が滲出性中耳炎(中耳に滲出液がたまり聞こえが悪くなる)、急性中耳炎(急な耳の痛みや耳だれが出る)、副鼻腔炎などを引き起こしたり、それらの治りを悪くすることがあります。
花粉症によって集中力や注意力の低下を引き起こしたり、運動のパフフォーマンス低下につながる場合もあるため、適切な治療をすることが大切です。

成人になってからも花粉症になります。

今まで花粉症がなかったとしても、今年から急に花粉症になってしまう可能性もあります。なぜかというと花粉などのアレルゲンに対する許容量には個人差があり、その許容量を超えた花粉に触れることによってアレルギー症状が引き起こされてしまうからです。
東京都と東京慈恵会医科大学付属病院アレルギー班は1983年から定期的に花粉症患者実態調査を行っており、第4回調査(2017年)では、都内におけるスギ花粉症有病率は、48.8%。
2人に1人が花粉症という結果が出ています。
特に小児と高齢者の罹患率が増加しているのが特徴です。花粉症は一度発症すると自然治癒が少なく、一度発症すると毎年シーズンに症状に悩ませられます。
※東京都花粉症患者実態調査報告書(2018)より引用

まずはアレルゲンを知ることが大切です。

アレルゲンを調べる血液検査をすると、アレルゲンがスギ花粉だけの方はむしろ少数です。花粉症だと思っていても、スギ以外のアレルゲンの抗体価が高いことも多くあります。
(たとえば、スギだと思っていたらイヌを飼っていてイヌのアレルギーももっていた!などということです)
アレルゲンを知り、それを回避することが第一のアレルギー対策となります。

花粉症の原因となる物質

花粉の飛散カレンダー

樹木の花粉飛散カレンダー
草の花粉飛散カレンダー

※鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版より一部改変

樹木の花粉

スギ(2月〜4月)
ヒノキ(3月〜5月)
ハンノキ
シラカバ

イネ科の花粉

カモガヤ(春から秋)
オオアワガエリ(春から秋)

雑草の花粉

ブタクサ(8月〜10月)
ヨモギ(8月〜10月)

花粉の飛散情報

東京都の情報はこちら
https://tenki.jp/pollen/3/16/
埼玉県の情報はこちら
https://tenki.jp/pollen/3/14/
千葉県の情報はこちら
https://tenki.jp/pollen/3/15/
神奈川県の情報はこちら
https://tenki.jp/pollen/3/17/
全国の情報はこちら
https://tenki.jp/pollen/

耳鼻咽喉科・眼科・内科・小児科からの選び方

耳鼻咽喉科・耳鼻科

くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状がある場合はまず耳鼻咽喉科を受診することをおすすめ致します。鼻の中を直接診察できるのは耳鼻咽喉科だけです。薬の効果を自覚症状だけではなく、鼻粘膜改善状態を把握できるからです。そして鼻アレルギー治療ガイドラインに沿った治療を行います。

眼科

目のかゆみが強い場合は眼科受診をおすすめ致します。また抗アレルギー点眼剤で症状改善が不十分な場合もステロイド点眼剤が必要となるため眼科受診をおすすめしております。これはステロイド点眼剤は眼圧上昇を招く場合があるため、使用の際には眼圧のチェックが必要となるからです。

内科

気管支喘息などのアレルギー疾患は内科の受診をおすすめ致します。花粉症の症状も安定されている患者様がかかりつけ医に継続した薬を処方していただく場合などはよいと思われます。

小児科

内科同様に症状が安定されている患者様が継続して花粉症のお薬を処方していただく場合にはよいと思われます。

診察(問診・視診)

  • 症状の問診
    症状はいつ頃からか?くしゃみ、鼻水、鼻づまりはあるか?鼻水は水っぽいさらさらなものか?など
  • 既往歴の確認
    毎年この時期に症状が出るか?
  • 視診(鼻・耳・のど)

検査・診断・検査費用

鼻汁好酸球検査(鼻汁の検査)

鼻汁を綿棒でぬぐい、鼻汁中に含まれる好酸球の有無を調べます。

好酸球はアレルギー疾患で血中に増加する白血球の一種で、アレルギー性鼻炎の鼻汁中に出現します。細菌やウイルス感染による鼻汁では主に好中球が増加します。

現在出ている鼻汁がアレルギーによるものなのか、風邪などの感染性の鼻汁なのかの鑑別の指標となります。

IgE抗体とは

IgE抗体は、免疫グロブリンの1つで、本来は、体内に侵入してきた微生物(細菌、ウイルス、カビなど)を攻撃して、体を守るためにあります。
しかし、何らかの理由で、体に無害なものにまで反応するようになり、アレルギー反応を引きおこす原因になります。

IgE抗体検査は、血液中のIgE抗体の総量(非特異的IgE抗体)や、どのアレルゲンに対する個別のIgE抗体(特異的IgE抗体)がどの程度増えているかを調べる検査です。

非特異的IgE抗体検査

非特異的IgE抗体とは、IgE抗体の総量のことでこの値が高いほど強いアレルギー体質であると言えます。但し肝疾患や膠原病、抗IgE症候群などアレルギー疾患以外でも高値となることがあります。喫煙者は高値を示す傾向があります。

特異的IgE抗体検査

ハウスダスト、スギなどの個別の抗原に対するIgE抗体の量を調べる検査です。0から6までのクラスに分けられ、クラス2以上が陽性と判定されます。個別の抗体に対するアレルギーの有無がわかります。一般的に抗体値が高いほうが症状が強い傾向が見られますが、抗体値が高くても症状が見られない場合もありますので、同じ値であっても症状には個人差があります。尚この検査は、保険診療では1回の採血で13項目までとなります。ただしview39アレルギー検査(39種類)、ドロップスクリーン検査(41種類)はセット検査であるため13項目の検査と同じ料金になります。

view39アレルギー検査(血液の検査)

39種類のIgE抗体の量を調べるセット検査です。アレルギーが疑われるが、原因となる物質がわからない時などにお勧めできる検査です。
→詳しくは Viewアレルギー39検査 をごらんください。

ドロップスクリーン検査(血液の検査)

注射器を使わずに患者様の指先から1滴(20μL)の血液を採取するだけで食物アレルギーや花粉症などの原因アレルゲン41項目を調べることができる検査のことです。少量の血液採取で検査が可能ですので、採血検査が難しい小さなお子さまにお勧めです。
→詳しくは ドロップスクリーン検査 をごらんください。

血液検査

※学校や職場への書類作成
※幼稚園、保育園、学校や職場、各審査機関への必要な書類作成も行っております。どうぞ気軽にご相談ください。(指定の書式がございましたらお持ちください。)

治療方法

舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)

舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)はアレルギーの原因物質(抗原)を少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく、根本的な体質改善が期待できる治療です。治療期間は3年以上が推奨されています。約70~80%の方で効果があったとされており、そのうちの20%は症状が出なくなったと報告されています

詳しくは「舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)について」をご覧ください。
※舌下免疫療法は、初回のみ1時間程お時間がかかりますので、午前は11時まで、午後は18時までにご来院ください。

内服薬

内服療法とは薬で花粉症の症状を抑える治療で、アレルギーが治る(アレルギー症状がなくなる)治療ではありません。
早めに飲み始めると効果的なので、初期療法をお勧めしています。
初期療法とは
花粉症の症状がまだでていない、花粉の飛散開始が予測される時期よりも2週間程度前から、第2世代抗ヒスタミン剤(花粉飛散時に飲む薬)の服用を開始することによって、花粉が飛び始めてから服用を開始するより花粉症の発症時期を遅らせて、また症状が軽くすることができます。
病院で処方される第一選択薬は第2世代抗ヒスタミン薬となります。作用時間が長くなり1日1回の服薬で済む薬や、眠気や口渇などの副作用が出にくくなったお薬です。
※最近は薬局・薬店でも購入できる第2世代抗ヒスタミン剤もありますが、それ以外の花粉症薬剤や総合鼻炎薬には、効果を増強するためカフェインやエフェドリンなどの交感神経興奮剤や抗コリン剤といった薬が配合されているものが多く、眠気やだるさなどの副作用が出やすいため、特に乗り物の運転や機械操作などをされる方は要注意です。
抗ヒスタミン薬とともに症状が強い場合には、ロイコトリエン拮抗薬やステロイドの飲み薬も使用することもあります。
花粉が大量に飛散して今まで使用していた薬でも効き目が不十分になったときには、一時的により強い薬に変更したり、別の薬を追加することもあります。
薬ごとの効果や眠気のデータはありますが、実際の効き具合や眠気には個人差があります。
効果があった薬、なかった薬の名前をお薬手帳などで確認してわかるようにしておくとよいでしょう。

貼付剤(経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤)

作用機序は皮膚から薬剤を吸収することによってアレルギー症状を抑えます。特徴としては24時間に1枚貼りかえるので薬剤の血中濃度が保たれるため安定した効果が期待できます。
代表的な薬 アレサガテープ
24時間に1枚貼りかえる薬なので、飲み薬が苦手な方、飲み忘れなどの心配がある方、また内服が困難なお年寄りやなどにお勧めしております。肌が弱い方はかぶれてしまう場合がありますのでご注意ください。

点眼薬(目薬)

目のかゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬やステロイドの目薬を使用します。
ステロイドの点眼剤は眼圧を上昇させる場合があるので、眼科での処方をお勧めしております。
コンタクトレンズを装着している場合は、そのまま使える一部の点眼薬以外はコンタクトレンズに着色してしまう場合があるため、コンタクトレンズを外して点眼して、十分な間隔を空けてから装着してください。

点鼻薬

今ある症状を抑えるための治療です。主に鼻噴霧用ステロイド薬が使用されます。
鼻アレルギー治療ガイドラインでは初期療法から推奨されております。
効果が強く副作用が少ないため、軽症例から内服薬単剤で効果が弱い場合には、内服薬に加えて鼻噴霧用ステロイド薬を併用します。鼻噴霧用ステロイド薬はステロイドの内服薬と違い鼻粘膜の局所に作用するため体に吸収されにくく、安心して使用して頂けます。
鼻づまりが強い場合には、点鼻用血管収縮薬を使用することがあります。しかし点鼻用血管収縮薬は一時的な短期間の使用であれば問題ないのですが、漫然と長期的に使用することによって薬剤性鼻炎となってしまうことがあります。特に市販の鼻炎用点鼻薬には血管収縮薬が含まれているものが多いので注意が必要です。
鼻水で薬が流れてしまうことがあるため、点鼻の前には鼻をよくかんで使用してください。

ゾレア皮下注射治療

季節性アレルギー性鼻炎の治療に適応があります。治療の適応になるには次の基準を満たす必要があります。
1、原因となる花粉抗原(スギ花粉)に対して、特異的IgE検査で陽性(クラス3以上)を示す。
2、過去の治療で抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬を併用しても、重症または最重症のアレルギー性鼻炎症状が見られた。
3、非特異的IgE検査にて30~1500IU/mlかつ体重が20~150kgの範囲にある。

手術

主にレーザーやトリクロール酢酸という薬品を用いて鼻粘膜を焼くことによって、腫脹した鼻粘膜を減量させて、鼻閉を改善させます。また焼かれた粘膜が治癒する過程で鼻汁を分泌する腺細胞が扁平上皮細胞に置き換わることによって鼻汁の分泌量が減少されます。効果はおよそ半年から長くて3年くらいです。粘膜焼灼直後は焼かれた粘膜にカサブタが付着して、一時的に鼻づまりが強くなるので、花粉症のシーズンが始まる2か月前くらいまでには完了しておく必要があります。また鼻中隔湾曲症が強い場合は、焼かれた粘膜が治癒する過程で癒着してしまうことがあるためお勧めできません。尚当院ではレーザー治療は行っておりません。導入していない理由としては効果が一時的で永続性が期待できないこと、どんなに慎重に治療しても粘膜の癒着などのリスクがあるためです。
レーザー治療のご希望の場合は北区耳鼻咽喉科医会に所属している信頼出来るクリニックをご紹介させていただいております。

おうちでできる花粉対策

花粉を家の中へ持ち込まないことが大切です。

マスクをつける

鼻に花粉が入るのを防ぎます

花粉対策用のメガネやゴーグルをする

目に花粉が付くのを防ぎます

花粉が付きにくい上着を着る

上着に付着した花粉は家に入る前になるべく払ってから入るようにしましょう。

洗濯物を家の中で干す

花粉の飛散時に外に洗濯物を干すと洗濯物に花粉が付着してしまいます。

空気清浄機の導入

必須ではありませんが、ウイルスや花粉を除去できる空気清浄機などもあります。

院長からのワンポイントアドバイス

アレルゲン(アレルギー引き起こす物質)を知ることの大切さ

花粉症を含むアレルギー性鼻炎の対策の第一はアレルゲンの回避や除去です。アレルゲンを知ることによって、最初の対応が可能となります。

少しだけ早めの対策の大切さ

初期療法という花粉が飛散する2週間ほどから服薬を開始することによって花粉症症状の発現を遅らせて、また症状の悪化を抑えることができます。
花粉が飛散する季節に入り、花粉症状が始まっても諦めずに少しでも早く受診してください。
花粉の本格的な飛散が始まり、飛散のピーク時には市販薬が効かなくなり慌てて受診される患者様も多くいらっしゃいます。市販薬にはない薬の選択や複数の薬を併用することも可能ですのでご相談ください。

よくある質問


アレルギー体質(アレルギー症状の出やすさ)は遺伝要素がありますが、症状の発現時期やどのアレルゲンに対してアレルギー症状がでるか?などは環境などの後天的要素によるものが多いと言われております。

抗ヒスタミン剤という内服薬は眠気を催すものがあります。眠気が出るかどうかはかなり個人差があり、全く眠くならない人もいます。最近主流の第2世代抗ヒスタミン剤と呼ばれる薬は比較的眠気が出にくいものになっておりますが、どの薬がご自身に合うかは飲んでみないとわからないことが多いです。ご自身に合う薬がわからない場合、当院では短期間の服薬で効果や眠気などの副作用が出るかどうかを確認しながら治療を進めるようにしております。