めまい

めまいの症状

めまいはグルグル回る回転性とふらふらするといった非回転性のものがありますが、耳鼻科疾患のめまい(内耳性のめまい)の多くは回転性のめまいです。代表的な疾患は良性発作性頭位眩暈症前庭神経炎メニエール病突発性難聴などが考えられます。前の2つは難聴を伴わない回転性めまいが主体であり、後の2つは難聴を伴います。また、まれにですが慢性中耳炎真珠腫性中耳炎の炎症が内耳に波及してめまいを起こすこともあります。内耳以外の原因としては、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍などの中枢性のめまいや、自立神経の障害や肩こりによるめまいなどもあります。

治療方針

まず問診でどのような自覚症状がいつからあるのかをお聞きします。診察はまず鼓膜の診察で慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎の有無を確認します。次に眼振(内耳が刺激されてめまいが起こっている時に見られる眼球運動)の有無を確認し、重心動揺検査にてバランスの状態を確認します。最後に聴力検査にて聴力の状態を確認し、それらの結果をふまえて診断に至ります。

多く見られる疾患

良性発作性頭位眩暈症

症状:頭位変換時に起こる回転性めまいで、難聴、耳鳴、耳閉感を伴わない疾患です。静止しているとめまい発作は1~2分で治まりますが、また頭位を変換するとめまいが生じます。

治療:自然治癒することも多いですが、耳石置換法(めまいの体操)が有効です。めまいや吐き気が強い場合は、抗めまい薬や吐き気止めを服用することもあります。

前庭神経炎

症状:回転性めまいで、難聴、耳鳴、耳閉感を伴わない疾患です。良性発作性頭位眩暈症との違いは頭位変換で誘発されることなく、静止してもめまい発作が治まりません。

治療:安静を保つことによって、2週間から3か月程度で自然治癒することが多いです。発症早期でめまいや吐き気が強い場合は、抗めまい薬や吐き気止めを服用します。通常は完治しますが、高齢の方の場合は急に動いた時のふらつき感が残る場合があります。

メニエール病

症状:回転性めまい、難聴、耳鳴、耳閉感を繰り返す疾患です。直接的な原因は内耳のリンパ液の循環が滞り、内リンパ水腫となり内耳を圧迫することによって起こるとされています。内リンパ水腫となる明らかな原因は不明なのですがストレス説が有力です。

治療:内リンパ水腫の解消のため利尿剤やビタミンB12、循環改善剤などの内服治療です。軽症例では利尿剤の代わりに利水作用のある漢方薬を処方します。以前は内リンパ水腫を予防するために水分摂取制限と言われていましたが、最近ではむしろ水分を多めに摂取することが推奨されているようです。

突発性難聴

症状:突然聞こえなくなる、耳鳴、耳閉感(耳が詰まった感じ)、めまいなどがあります。

治療:当院で行える治療は、ステロイド剤やビタミンB12、循環改善剤などの内服治療です。

糖尿病やB型肝炎、C型肝炎の既往がある方はステロイド剤の内服治療ができません。
そのため、治療前に血液検査を行う必要があります。
入院が可能な大きな病院では、施設の規模にもよりますが、ステロイドの鼓室内投与や点滴治療、高気圧酸素療法、星状神経節ブロックなどの治療を併用することができます。
突発性難聴は文字通り突然起こる難聴でウイルス感染説、内耳循環障害説、ストレス説などがありますが、明らかな原因は不明です。発症後2週間を経過した症例の治癒率は2週間以内に治療を開始した症例に比べて低下します。また早期に治療を開始しても完治する率は3分の1、改善はしたが完治には至らなかった率が3分の1、全く改善がみられなかった率が3分の1と言われています。そのため当院では、できるだけ早期に可能な治療を行う事が大切であるとの考えから、可能な限り大学病院など大きな病院をご紹介させていただいております。

よくある質問


エプリー法やレンパート法などがあります。
エプリー法(患側が右の場合)
①まず座った状態から仰向けになります。
②次に頭を右に90度向けます。
③右を向いたまま首をできる限り下に下げます。下げることができない場合は首の下にタオルを丸めたものなどを入れて頭頂部が下がるようにして下さい。
④頭の角度は動かさずに、体を90度起こします。
⑤ゆっくり座った状態へ戻ります。
レンパート法(患側が右側の場合)
①まず座った状態から仰向けになります。
②頭を患側とは逆の左側へ90度向けます。
③さらに同じ方向に90度回旋してうつぶせになります。
④さらに同じ方向に90度回旋して右側を向きます。
⑤ゆっくり座った状態に戻ります。