睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の概要

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気です。

主に上気道の閉塞や脳の呼吸中枢の異常が原因で起こります。睡眠中、のどの筋肉がゆるみ気道が狭くなることで、呼吸が浅くなったり、完全に止まったりします。

その結果、血中酸素濃度が低下し、深い睡眠が得られなくなります。これにより日中の眠気や集中力低下、さらには高血圧や心疾患のリスク増加につながる可能性があります。早期発見・治療が重要な疾患です。

日本における睡眠時無呼吸症候群患者は約500万人とされていますが、そのうち適切に治療を受けているのはせいぜい1割程度と言われています。
詳細はこちらから⇒ https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/93

しかし、心配する必要はありません。睡眠時無呼吸症候群は、適切な診断と治療により、多くの場合で症状を大幅に改善することができます。専門医による正確な診断と、個々の患者さんに合わせた治療法の選択により、質の高い睡眠を取り戻し、健康的な日常生活を送ることが可能になります。
当クリニックでは、最新の医療技術と豊富な経験を活かし、皆様の睡眠の質と生活の質の向上をサポートいたします。

当日に順番予約OK・1か月前からの時間指定予約もOK

休診日:水曜日・日曜日・祝日

いいだ耳鼻咽喉科
お気軽にご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群の種類

【閉塞性】睡眠時無呼吸症候群

最も一般的な型で、成人に多く見られます。特に40~60歳の中年層で発症リスクが高まります。肥満、首の太さ、扁桃腺肥大などが原因となることが多く、いびきを伴うのが特徴です。
男性は女性の2~3倍発症しやすいですが、閉経後の女性でもリスクが上昇します。また、小児でも扁桃腺肥大などにより発症することがあります。
気道閉塞により血中酸素濃度が低下し睡眠が中断されます。治療にはCPAP療法や口腔内装置が効果的です。

【中枢性】睡眠時無呼吸症候群

脳の呼吸中枢の異常により、適切な呼吸の指令が送られないことで起こります。心不全や脳卒中後に発症することが多い。
閉塞性と違い、気道は開いていますが、呼吸のための筋肉が動かないため、呼吸が停止します。いびきは通常伴いません。
年齢とともに増加する基礎疾患(心臓病、神経疾患など)が原因となることが多いため、高齢になるほど注意が必要です。治療には原因疾患の管理が重要で、場合によっては特殊な人工呼吸器が使用されます。

【複合性】睡眠時無呼吸症候群

閉塞性と中枢性の特徴を併せ持つ型で、年齢層は様々です。多くの場合、閉塞性睡眠時無呼吸の治療中に発生します。
例えば、CPAP療法で上気道の閉塞は改善されても、脳の呼吸調節機能の問題が顕在化することがあります。
中年以降に多く見られますが、若年者でも発症する可能性があります。特に、長期間未治療の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者が、年齢とともに中枢性の要素を併発するケースがあります。
診断には詳細な睡眠検査が必要で、治療は複雑になることがあります。個々の症例に応じて、閉塞性と中枢性の両方の要素に対処する総合的なアプローチが必要です。

睡眠時無呼吸症候群かも??と思ったらお気軽に

こんなときには相談を

夜間の症状

  • 大きないびき
  • 就寝中の呼吸停止(家族に指摘されることが多い)
  • 息苦しさで目が覚める
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 頻繁なトイレ
  • 寝汗をかく
  • 口渇

日中の症状

  • 起床時の頭痛
  • 日中の過度の眠気
  • 集中力・記憶力の低下
  • 倦怠感や疲労感

生活への影響

  • 車の運転中や会議中の居眠り
  • 原因不明の高血圧や心臓病のリスク増加
  • 糖尿病や肥満のリスクを持っている

ひとこと

これらの症状や影響のいくつかが当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。早期発見・早期治療が重要ですので、心当たりのある方は専門医への相談をおすすめします。

診断方法

問診と診察

問診

患者さんやご家族から症状や生活習慣について詳しくお聞きします。

  • 睡眠の質、いびきの有無、日中の眠気などの症状
  • 生活習慣(飲酒、喫煙、就寝時間など)
  • 既往歴や家族歴

など

診察

  • 身長、体重の確認
  • 口腔内や鼻腔の観察(扁桃肥大、鼻中隔彎曲などのチェック)
  • 顎や顔の形状の確認

簡易検査

携帯型睡眠時無呼吸検査装置

特徴: 自宅で使用可能な小型の装置
測定項目: 呼吸状態、酸素飽和度、体動など
メリット: 自宅で普段通りの睡眠が取れる、比較的安価
デメリット: PSGほど詳細なデータは得られない

パルスオキシメーター

特徴: 指先に装着する小型の機器
測定項目: 血中酸素飽和度と脈拍数
メリット: 簡便で手軽、スクリーニングに有用
デメリット: 無呼吸の直接的な検出はできない

鼻気流センサー

特徴: 鼻の下に装着するセンサー
測定項目: 呼吸の気流
メリット: 呼吸パターンの異常を直接検出できる
デメリット: 口呼吸の場合、正確な測定が難しい

睡眠ポリグラフ検査(PSG)

睡眠ポリグラフ検査は、当院でも実施している睡眠時無呼吸症候群の最も正確な診断方法です。

PSG検査の特徴

  • 一晩中、専用の検査室で睡眠を取りながら行う検査
  • 脳波、心電図、呼吸状態、酸素飽和度、体動など多数のパラメータを同時に測定する
  • 無呼吸や低呼吸の回数、程度、睡眠の質を詳細に評価可能

PSGは最も詳細で正確な診断を可能にし、睡眠の質や他の睡眠障害も同時に評価できるというメリットがあります。
一方で、通常専門の設備が必要なため予約が取りにくい場合があることや、慣れない環境での睡眠となるため普段の睡眠状態と異なる可能性があるというデメリットもあります。

これらの診断方法を組み合わせることで、睡眠時無呼吸症候群を正確に診断し、適切な治療方針を立てることができます。
症状や生活への影響が気になる方は、まずは当院や専門医にご相談ください。また、いいだ耳鼻咽頭科では、総合病院などでしかできなかった睡眠ポリグラフ検査(PSG)を実施することが可能です。ぜひご自身の睡眠の質や健康に不安のある方はご相談ください。

治療法

睡眠時無呼吸症候群の治療は、症状の程度や原因によって異なります。当院で推奨する主な治療法を紹介します。

生活習慣の改善

軽度の症例や、他の治療法と併用して効果を高めるために重要です。

  • 減量:肥満は睡眠時無呼吸症候群の主要な危険因子です。適切な体重管理により、症状が改善することがあります。
  • 禁煙・節酒:喫煙や過度の飲酒は上気道の炎症を引き起こし、症状を悪化させる可能性があります。
  • 睡眠姿勢の改善:横向きで寝ることで、舌根沈下を防ぎ、気道の閉塞を軽減できることがあります。
  • 規則正しい睡眠:十分な睡眠時間の確保と規則正しい睡眠スケジュールの維持が重要です。

CPAP療法

中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する最も効果的な治療法です。

  • 仕組み:マスクを通じて鼻や口に空気を送り込み、気道を開存させます。
  • 効果:無呼吸・低呼吸を防ぎ、血中酸素濃度の低下を防ぎます。
  • 色々なメーカーから出ていますので、患者さんに合った装置を推奨しています。
  • 即効性があり、使用初日から効果が現れることが多い
  • 毎晩の使用が必要
  • 機器の調整や管理が必要

口腔内装置

軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群や、CPAP療法が合わない患者さんに適しています。

  • 仕組み:下顎を前方に固定し、気道を広げます。
  • 効果:いびきの軽減や軽度の無呼吸の改善に効果があります。
  • 特徴
    • CPAPに比べてコンパクトで携帯しやすい
    • 歯科医師による調整が必要
    • 顎関節への負担や歯列の変化に注意が必要

手術療法

他の治療法が効果的でない場合や、明らかな解剖学的異常がある場合に検討されます。

  • 主な手術法
    • 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP):軟口蓋や口蓋垂を切除し、気道を広げます。
    • 鼻中隔矯正術:鼻呼吸を改善します。
    • 扁桃摘出術:肥大した扁桃を除去し、気道を広げます。
  • 特徴
    • 症例に応じて適切な手術法を選択
    • 永続的な効果が期待できる
    • 手術のリスクや回復期間を考慮する必要がある

自己チェックリスト

睡眠時無呼吸症候群の可能性がある方、または症状でお悩みの方に向けて、以下の情報をご用意しました。
以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。当院や専門医への相談をおすすめします。

  1. 大きないびきをかく(家族から指摘されたことがある)
  2. 寝ている間に呼吸が止まることがある(家族から指摘されたことがある)
  3. 朝起きても疲れが取れない、頭痛がする
  4. 日中、強い眠気を感じることが多い
  5. 集中力が低下し、仕事や日常生活に支障がある
  6. 高血圧と診断されている、または治療中である
  7. 肥満傾向にある(BMI 25以上)
  8. 首周りが太い(男性41cm以上、女性38cm以上)
  9. 50歳以上である
  10. 夜間に何度もトイレに行く

よくある質問

可能です。
可能です。
診察は可能ですが、予約された方が優先となりますので、ご予約されることをお勧めいたします。
可能です。
いろいろな要素がありますのですぐに完治は難しいと思われますが、まったく不可能というわけではではございません。まずはご相談ください。
多く意見をいただくことは、日中の眠気の軽減と、起床時の疲労軽減が多いです。
患者様の状態によって変わりますが、CPAP療法は対処療法であるため、治療を継続したからと言って身体が改善するわけではないので継続的な治療が必要となります。減量や手術療法などによる治療を併用することによってCPAP療法を終わらせることも可能ですが、個人差もあるので一概に治療期間をお示しすることはできません。
可能です。
特にございません。
社会保険や国民健康保険が適応となりますが、おおむね月に5000円程度の自己負担となります。
既に使用する機械が決まっていて、消耗品などの金額が分かっている場合は、個人購入の方がお安く済む可能性がございますが、治療経過によっては機材や消耗品の変更が必要なこともあるのでお勧めできません。機材の故障の場合なども自己負担での対応となりますので、お勧めできません。
普通の診療と同様にマイナンバーカードもしくは保険証はご持参ください。

院長からひとこと

睡眠時無呼吸症候群でお悩みの皆様へ

睡眠は私たちの心身の健康を支える大切な基盤です。しかし、睡眠時無呼吸症候群に悩む方々にとって、その大切な睡眠が十分な休息をもたらさないことがあります。日中の強い眠気やだるさ、集中力の低下など、この症候群がもたらす影響は決して小さくありません。

当クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療に10年以上携わってきました。この経験を通じて、適切な治療により多くの患者さんの生活の質が劇的に向上するのを見てきました。かつては日中の眠気に悩まされていた方が、治療後には生き生きと仕事や趣味を楽しむようになる—そんな変化を目の当たりにするたびに、この分野に携わる喜びを感じています。

睡眠時無呼吸症候群は決して珍しい病気ではありません。しかし、自覚症状に乏しく、「単なるいびき」と軽視されがちです。もし少しでも心当たりがあれば、ぜひ一度受診をご検討ください。

当クリニックでは、最新の医療機器と豊富な経験を活かし、皆様一人一人に寄り添った診療を心がけています。治療法の選択から日々の生活習慣のアドバイスまで、あなたの生活スタイルに合わせたサポートを提供いたします。 良質な睡眠を取り戻し、健康で活力ある毎日を過ごすお手伝いをさせていただければ幸いです。皆様のご来院を心よりお待ちしております。